追悼

 

 ニック・ヴァン・エクセルというNBAプレイヤーが好きでした。乗った時の無双感,

安定したボール運び。イメージはカットインすると見せかけての3P。

 思い出すのは1997プレイオフ。ジャズ相手に残り少ないゲームタイムに、僅差でボールを渡すプレイヤーが誰になるか。ヴァンエクセルのファンからすれば、ここはニックしかないと思っていた場面で、HCはルーキーの選手に延々と打たせる戦略を選びました。結果は4本のエアボール。リングにかすりもしない、その場面を私はリアルタイムで見ていて、ふざけるなと思ったことを思い出します。理由は二つあって、勝ちに徹するならニックだろう、という視点と、プレイオフの正念場で4本続けて外した選手がかわいそうで、潰れるんじゃないかという懸念。

 

 ルーキーのその選手の名前は、コービー・ブライアント。才気走ったプレイは当時から群を抜いていたけれども、土壇場のメンタルの弱さを露呈した瞬間でもありました。

 

 その後の彼の活躍は、ここで紹介するまでもないです。NBA史に残る選手になりおおせた彼を、1997のあの瞬間を見た私としては、畏敬の念で見ていました。

 あの時、敗退してシャックに肩を抱かれながら、慰められながらロッカールームに引き上げた彼は、いくらでもいる、潰れていく選手とそれを乗り越えてレジェンドの道へ踏み出す二つの道の分岐路にいたのだと思う。あの苦境に負けず、オールタイムNBAプレイヤーのランキングに名を馳せる選手になった彼は、私の中では選手生活のスタートからリアルタイムで見た最初のNBAレジェンドなのです。

 

 冥福を。私はあなたを尊敬していました。