食戟のソーマ』(ジャンプコミックス)

 鳥獣戯画から始まって(?)、手塚治虫の世代において9割方広げられ、その後は残り1割と技術更新を綿々と開拓するしかなくなったのです漫画は。この点においての議論はバッチコイなのでさぁこい。来ないけど。

個人的にジャンプの編集はその技術更新の権化だと思っていて、その思考を暴露した『バクマン』は漫画史上において革命的な位置づけをすべきだと考えております。(鳥山明の『ヘタッピ漫画研究所』はより漫画家寄りの視点だし、漫画家視点と編集者視点の重心の違いはある)

 さて、ソーマは「漫画」の究極形に近いと思ってます。
 故桂枝雀が仰られた「緊張と緩和」は「緩和と緊張」でもあるのです。振り幅の大きさこそが笑いと読後感を生むのだという確信的な作話。 コミケで使われそうなエロ要素とBL要素。読んでいても正直存在価値を疑う「食戟」というバトル要素(作中で一度その存在価値の否定までする)。

 んなこたぁどうでもいい(えっ

 語りたかったのは主人公である幸平創真のサイコパスっぷりです。
 久々に震える程欠けてらっしゃる主人公に出会えましたね。どっからどうみても基地外なんだよなあ。
 バトル漫画の癖に負けても負けても『糧にしますし^^』で実際糧にしながらどんどこ最強に近づいていくという学習型AIかな?みたいな異常性。
 もうちょっと苦しんでくんねえかな?
 作者本人もちょっとアレかなと思ったのかどうなのか、道中の主人公の親父のコメントでソーマ君のそういう特性を押し出したつもりが結果的に基地外認定を推し進めただけじゃないのかあれ。
 『それが天才の条件です』とか思わないです。本物の天才は悔しがりもせんやろ。
 マジでAIに近いと思うし、調べてもないけど絶対同人誌で責め側にも受け側にもいる比率が低いと思うんだよね。だって受けならタクミとか丸井とかおるし攻めなら葉山とか黒木場とかいるし。