水没ピアノ』(佐藤友哉)読了。

 例えば類い希なる天然芸人がここにいたとして、その天然芸人に「如何に君が天然で希少で重要で珍しくてどんな理由でそうなっているか」を教えたとします。するとどうなるか。その天然芸人は潰れてしまいます。曰く「天然は天然を自覚した時点でその価値を失う」。

 佐藤友哉も同じです。極めつけに曖昧で胡乱で不安定な彼の欲求は虚空に向かって銃を撃つが如きフロンティアスピリット(もしくは道化的行動)により表現されてこそ破壊力を生み出すことができる。彼は「保護すべき存在」であると考えています。

 リビドーのままに書き散らしていけば何時か、何時かもの凄い傑作をものせると思うのですが、勿体ないことです。