へうげもの』(山田芳裕)(1)

 数奇者・古田左介の一代記!
 時は戦国、織田信長の時代。
 信長が(誇張アリ)武士に芽生えさせた「数奇者」という概念がそのまま形になったかのような俗物が数奇「モノ」に振り回されるお話。
 このお話の信長が持つ魅力たるや、一読の価値ありでございます。

 私事になりますが、山田芳裕の漫画を見ると、いつも『デカスロン』を初めて読んだときの衝撃を思い出します。動きの誇張表現の極大と言いましょうか、客観的に見るとギャグだし笑えもするんですが、それがリアリティを伴っていることにビックリしたものでした。

 今回もキャラ同士の掛け合いはまったくギャグなのですが、物や空間に対する言語表現の上手さが際立ちます。例を挙げると「どぺぇっ」「はにゃあ」「ボアノイチ!!」

 あと、素晴らしいと思うのが各話の小題。以下羅列。

第一席 君は`物`のために死ねるか?
第二席 黒く塗れ!!
第三席 碗LOVE
第四席 茶室のファンタジー
第五席 強き二人の茶事
第七席 京のナイト・フィーバー
第八席 カインド・オブ・ブラック
第九席 天下よりの使者

 これがまた、内容にハマってるんだ。