生存しています

木村紺『マイボーイ』

 不安を抱いていた開始点から数が月。
 結構おもろいやないか。
 
 試合の描写が思いの外良い。緩急の差のつけ方が前作より上手くなっている。
 ただ、ここから何を描きたいのかが難しい。ただの天才無双なのか育っていく物語なのか。
 アフタはここがなあ。一ヶ月に一度だから後者を目指すとおおぶりみたいな進捗になってしまう。
 かと言って前者を描くならば。
 二、三枚上を行っていた天才無双系漫画でさえ先細りになる。『リン』『昴』『capeta』全てそうだった。
 げに、天才無双を描いて着地させる道の険しきことよ。
 どうすんだろうなあ…。(wolonは木村紺先生を応援しています)


石塚真一『Blue Giant』

 前作『岳』が好きでした。好きでしたが、もう読み返すことはないと思います。
 素晴らしい漫画だったと思うけれども、論理的にも漫画的にも自然な帰結点だったとも思うけれども、
 私はあのラストが嫌いなのです。別に作者もああしたくてしたわけでもないのだろうけど、
 それでも嫌なものは嫌。漫画自体の面白さとは別の次元で「もう見ない」のです。

 さて『Blue Giant』。こいつぁヤベェ。万難排して読むべきですよ。
 音楽漫画で傑作と呼べる物は後にも先にも『BECK』しかないと思っていた私ですが、
 まだ3巻しかでてない現在において、方向性は別としてもこれは傑作。
 天才無双系は突き抜けてないと最低系SSとなんら変わらないと思っていて(それはそれで好きではあるが)、
 個人的には天才が育っていく物語が無双よりも好きなのです。
 マガジンで一番面白いのは分析と努力に特化した天才が育って行く『ベイビーステップ』ですよね?
 
 『Blue Giant』のもっと魅力を感じるところは、これが育てられる物語な所です。
 天から与えられた才能という曖昧模糊としたものが主人公にあったのか、明確なそれを前提にしてないところが良いのです。
 
 あの時あそこに行かなければ。あそこであの人に出会っていなければ、家族がああいう家族じゃなければ。
 繋がっていき、育まれ、育っていく物語。